対談 阿佐ヶ谷3349柴田修平とお客様
第5回 小川大二郎さん
ダイさんに初めて会ったときの印象は、「中1の時の中3の先輩」で、決して「中2の先輩」ではなく「中3の先輩」だったわけで、この差は大きく……、そもそも勝負出来ない、と思わされる強さを感じた。
情に厚い「呑み屋の店長」気質だと思いきや、僕の知らない「証券取引」という数字の世界で戦っている顔も持ち合わせていて……。 ヤ◯ザかなと思いきや、紳士を絵に描いたような振る舞いを魅せる。
時々弱さものぞかせてくれるから、「僕と一緒じゃん?」と思ったりするけど、次の瞬間には、遠い「中3の先輩」に戻ってたりする。 要するに僕は惚れてるんだと思う。
【知力、財力、暴力】
先輩を語る上でこの3つの言葉は欠かせない。

阿佐ヶ谷3349代表
柴田修平
[左] 小川大二郎(オガワダイジロウ) 長崎県生まれ。大学卒業後中央出版の経理部や人事部で働くも、金融の本質を知るべく、大学院に通いなおし、※1大手外資系金融機関に就職。現在シニアアドヴァイザー。一方で※2やきとん屋「いっぽ」2号店マネージャーを務める。
[右] 柴田修平(シバタシュウヘイ) 1986.6
原宿の某サロンにて下積み~スタイリストデビュー~トップスタイリストを経験。23歳の時、異例の店長に抜擢。その後、複数の店舗の運営管理を任され、赤字店舗を復活させる偉業を成し遂げる。2015年8月、『阿佐ヶ谷3349』代表に就任。カッコつけないカッコよさを現在模索中。知らないことを知らないと言える素直さを目標にし、『立入禁止(仮)』に参加。字が汚いがそんな自分は嫌いじゃない。真面目な優良社会不適合者。
■阿佐ヶ谷
柴田:今日はよろしくお願いします。
ダイさん:はい。
柴:そもそもなぜ阿佐ヶ谷にやきとん屋を?
ダ:西荻窪か中野の店舗を借りようとしたんですけど、不動産屋や大家さんから、2店舗目の実績がないと貸せない、というのがあって。なるべくライトに店を構えられる場所として、リサーチした結果、阿佐ヶ谷だった。
柴:なんでライトに?
ダ:2店舗目の実績をつくることが目的だったから。1年限定の予定で。
柴:そうだったんですか。はじめて聞きました!
ダ:1年限定だと、あまり「いっぽ」 の本質的な営業スタイルはやれないから。
柴:本質的?
ダ:飲食の場合、どこでも大概そうですけど、新参者への店イジメがあります。それに耐えられたら、仲間にしてやるよ、という連中の集まりなんです。
柴:へぇー。じゃあ「いっぽ」 にも?
ダ:そこが営業のチャンスです。こちらから、よろしくお願いします、と出かけていって、とにかく呑んで、食う。金に糸目をつけずに。2、3人で行って、10万は使うようにしてます。飲食には返杯ってのがあって、同業者が店で呑んでくれたら、その相手の店に行って同じ金額を落とさなきゃならない。俺たちがいくと、相手の店は、金額に驚いて、あの新参者の「いっぽ」 の連中、何者なんだ?ってなる。もうバッチバチです。みんな、縄張り意識強くて。
柴:もめごとも?
ダ:この間もある店に行って、うちの従業員と3人で呑んでいたら、食い方が汚い、気に食わない、って絡まれて……。全然汚くないんですよ、普通なんです。それで、喧嘩です。
■財力・権力(暴力)・知力
柴:ダイさん、財力・暴力・知力の話をしてくれたの覚えてますか?
ダ:はい。
柴:それって上に立つ人には必要だと僕も思っていて、暴力と強く言ってしまうと、また違うかもしれないんですが……。暴力ってある意味、技術とかもそうだと思うんですよね。例えば、圧倒的に支持を得ている人がいた場合、従わざるをえないじゃないですか。正しいか正しくないかとすらないというか。稼いでる、金を持ってるというのもやっぱり力で、大金積まれれば、従わせられることもある。でも、それ以上の知力で、言葉を使えば、相手を黙らせることもできる。
ダ:はいはい。
柴:この3つをやっぱり大事にされてるんですか?
ダ:これは喧嘩道の鉄則。暴力というか……、権力かな。財力・権力・知力。この中で基盤になるのは財力と権力。絶対大事。カリスマになるための必須項目。ずっと揺るがない。
柴:それはいつから思っているんですか?
ダ:それは外資系に入ったときに、成功者の過去に興味を持って……。だいたいアメリカ人もささくれが多いし、その家系をみると、権力も財力もあって……。でもそれだけではダメで、もう一段上に立ちたいなら、知力が必要。それが外資系金融機関で学んだこと。どこへ行っても、スタンダードだなって思いますね。
柴:なるほど。
ダ:もっと大きく見ると、各国の大統領は、やっぱり軍人出身が多いよね。
柴:外資系金融機関に入る前のダイさんにもそういう意識ってあったんですか?
ダ:全くない。暴力しかない。暴力で人を動かす。犬に対するコマンドと同じ。
柴:そういう人が近くにいたんですか?
ダ:自分が勝ち残るためには暴力しかなかった。ヤンキーだったんで。それに親父かな。親父の生きざまをみると、親父は職人で、親父の下についている職人さんは、みんな親父の暴力によって従ってた。もちろん財力も親父は持っていたけど、暴力が際立ってましたね。親父は、小卒か中卒か知らないけど、知識はなかった。今考えると決してそんなことなかったかもしれないけど、暴力が一番だった。
柴:今も暴力は大事だと思いますか?
ダ:もちろん。暴力は大事です。体力が衰えて、暴力の維持が難しいなら、どんなジャンルでも、さっさと引退した方がいいと思いますね。
柴:そうですよね。
ダ:それは従わせるための暴力ではなくて、店を守るための暴力なので、絶対大事です。
柴:説得力がありすぎる(笑)
ダ:店は守り抜かなきゃならない。暴力、絶対大事です。
■子供時代
柴:どういう子供でした? ダイさんご出身はどこでしたっけ?
ダ:長崎。
柴:そうだった。
ダ:小学校中学校は、過疎地域で、小学校は一学年六人。
柴:少ない!
ダ:中学校は12人、過疎も過疎の地域。高校で6クラスの40人。幼い頃は、人数が少ない分、序列がはっきりしていて、誰をやっつければトップになれるかがわかりやすかった。
柴:ダイさんがやられていた、という時期はあったんですか?
ダ:ない。勝てなかったのは親父だけ。幼少期は、いくつのときもその中で、トップ張ってた。小川さん家のあの子はかなりヤンチャだねぇ、と。
柴:おこがましいんですが、幼少期が僕と似てる、といつも思うんです。
ダ:この間も言ってたね。
柴:トップ張ってた、というところではなくて。父親が絶対だったという部分。今でもそうで。逆らえないというか。
ダ:全く同じです。
柴:※3暴対法前の飲み屋の息子なんですよ、僕は。つまり、そういう繋がりがあるというか。親分の何かがあると、家族でそこへ出かけていったんですよね。だから、よくそっち筋の人間なのか、と勘違いされたんですけど。何が言いたいかというと、どこか生活を支える底の底に、暴力のにおいがあったというか……。
ダ:絶対的なものとして親父がいたというか。親父を理想として、さらに、親父に足りないものを探していった結果が知力を身につけるってことだったかな……。
柴:親父さんのお仕事は?
ダ:土建屋の社長。下請けの下請け。他の土建屋と違うところは、職人さんが全員元犯罪者。少年院から上がってくる人たち。そこの保護観察を引き請け負って、彼らを一人前にして親方に育てる。職人さんたちからすると親父は神。そして、彼らが独立して親方になって、暖簾分けじゃないけど、そこでロイヤリティをもらうというのが、親父のビジネスモデル。今、俺が「いっぽ」の従業員たちにやろうとしてることと全く一緒。
柴:親父さんはでかい存在なんですね。
ダ:うーん。ようやく素直に尊敬しはじめた。
柴:はい。
ダ:ただ、親父に足りなかったのは、知力。
柴:それを意識したのはいつですか?
ダ:あとで気づくんだけど、それも親父が道を示してくれたっていうか。大学へいかないと、これからは上に立てないよって。
柴:へぇー。
ダ:それに財力の大切さも親父が教えてくれた。
柴:というと?
ダ:仕送り一切なし、すべて自分で賄って暮らせって放り出されて、4年間地獄のような生活でしたね。食うものもなくなって万引きしようかと本気で考えた。そこで「1000円使うことの簡単さ、1000円稼ぐことの大変さ」を知ったかな。お金に興味を持ったのもその頃かな。お金のプロになりたい、と。
柴:そこから大学卒業して証券マンに?
ダ:いや、2年間、中央出版の経理と人事として就職しました。
柴:そうだったんですね。
ダ:経理がお金のプロだと思ってたんだけど、伝票整理だけで、なんらファイナンスの流れがわからない。これじゃないと思って。大学院に入りなおした。
柴:で、外資系金融機関にいこうっていうのはいつ決めたんですか?
ダ:大学院にいく時点で外資系金融機関は視野にあって。そこに入るための大学院だった。
柴:簡単じゃないですよね?
ダ:本当はアメリカの大学に入ることが一番の近道なんだけど、アメリカにいったところで、確実に入れるかというとあやしい。アジア枠というのがあるんですけど、規模がまだ小さかった。とりあえずそこへ身を置くことを優先させて……。600人入社だったかな、599番でもいいから、とにかく入ろうと。
柴:勉強は得意だったんですか?
ダ:大学3年まではほとんど勉強していなくて、ずっとサッカーをやってました。もともと文系だったんだけど、理系に転向してから、勉強が楽しくてしかたがなかった。勉強したことをアウトプットする楽しさったらない。勉強についてはリバウンドもリバウンド。ハイリバウンド。楽しかったなぁ。
柴:気づいたんですね、楽しさに。
ダ:無知はダメですね。どこの分野においても。無知は罪です。力がない。
■外資系金融機関時代
柴:ぎりぎり入社だったんですか。
ダ:ぎり採用でしょうね。間違いない。ただ、入ってしまえばみんな一緒。
柴:今も関わっているんですよね?
ダ:シニアアドヴァイザーという肩書になります。プレイヤーとしてはもうやっていませんが、大手企業、上場企業のコンサルなんかをやっています。インサイダー情報をバリバリ持っているので、名刺には外資系金融機関所属という形になります。
柴:やはり最初、仕事は大変だったんですか?
ダ:大変でしたね。24時間勤務。パソコン、モニターだらけ。どこで誰の大統領の演説があるか常にチェック。証券会社の三大鉄則は政治リスク、天災リスク、そしていわゆる世の中リスク。画面が8個あってそれが常に流れてる。未知の世界でしたね。
柴:それを見て売り買いのジャッジをするのが仕事。
ダ:そうです。演説後ではなく、演説中にジャッジして、100億金が動く。これがトレーダーの世界です。
柴:入ってすぐにそれをやる。
ダ:外資系の特徴は、入社は600人いるけど、入ってセンスのない奴は、一週間でクビ。
柴:そうなんですか!?
ダ:そうです。センスです、センス。センスと運。気合い根性では残れない。努力でもダメ。
柴:それがダイさんにはあった。
ダ:俺はたまたまあった。それは能力が高い人間というのではなくて、ぎりぎり入社だったから上から期待を持たれていなかったっていうのがある。
柴:自由にできた。
ダ:上位層はあっという間にクビ。
柴:例えば「小川くん、それジャッジしといて」みたいな感じですか?
ダ:最初は必ず後ろにテスターというのがいて、監視しています。
柴:はいはい。
ダ:今となっては、数字が上がるのか下がるのか、はっきりわかる。でも最初は経験も知識もないですからねぇ。2分の1に賭ける。
柴:あたるんですか?
ダ:テスト合宿みたいなものがあって、デモトレードなんですが、6問中全問正解。
柴:それは「えいや」 って2分の1に賭けるんですか?
ダ:もちろん考え抜いた上で根拠のある「えいや」 ですけど、最後はそうなる。
柴:ダイさんとしてはラッキーだったな、と言う感じなんですか?
ダ:うーん、「してやったり」 という感じ。根拠を磨き上げるのはセンス。売買をするボタンを押すのは運。それを繰り返して腕を磨いていく。それがうちの会社のやり方なんです。
■飲食店
柴:なぜ、証券マンが、飲食店を、というところを聞きたいんですけど。
ダ:会社のアジアの拠点が日本に移ったんですね。そこで少し余裕ができて、茅ケ崎に家を買ったんです。そこで犬を飼いたくなって。ストレスもあったんで。
柴:犬? ダイさんのイメージにないなぁ(笑)
ダ:そうなんですよ。犬飼いたくて。当時の彼女が面倒みてくれたし。ブリーダーさんにお願いして。買った犬の兄弟犬の飼い主が針谷さんです。
柴:「いっぽ」 をはじめた針谷さん?
ダ:そうそう。最初は犬の話をしていただけなんですが、だんだんお互いの仕事の話になり、針谷さんが、飲食を始めるときに経営について力を貸してくれってずっと誘われてて。
柴:それで最初から手伝ったんですか?
ダ:いやいや、とりあえず、食べに来てよ、と言われて1号店に行ったんです。
柴:高円寺の?
ダ:そう。そしたら、そこにTシャツとサロンが用意されてて、せっかく来たんだから、やってみませんか、ってなって。それがきっかけです。
柴:へぇー。
ダ:もちろん会社に在籍しながらなんで、針谷さんにいろいろ考慮してもらいながらですけど携わるようになって。経営を見ながら。お手伝いするようになって。せっかくだから現場を知ろうと思って、現場に入ったら、これまた面白い。リアルに人とお金が動いて、額は違えど、トレードと一緒なんで、意外とマッチしたというか。
柴:そこに面白みを感じた、と。
ダ:そう。本当に面白い。で、課題が見えてきて。
柴:課題?
ダ:人がなかなか根づかない。それはなんでかなと考えたら、まぁ飲食って暴力の世界なんですよ。バカのアホのクソの集まり。板長さんも、刺青だらけで、バイトは殴る、罵声は浴びせる、どっかでみた光景だな、と思って。そりゃ、辞めるわ、と。針谷さんにアドヴァイスして、板長を切って、俺を入れてくださいってお願いして。「人を根づかせる」 をテーマにしばらく運営して、今の従業員が入ってくれた。
柴:なるほど。
ダ:そして従業員を育て独立させてロイヤリティを取ろうよ、というビジネスモデルができた。親父のやってたことだね。
■ダイさんにとっての3349
柴:これだけ忙しい中、こういう時間もそうですけど、なんで3349を相手にしてくれるんですか?
ダ:まず同世代がやっているというのが一番でかい。正確に言うと、同世代よりも少し下。
柴:ダイさんが37歳で、僕が30歳。
ダ:そういう人たちに投資をしたい。
柴:前からそれ言ってくれますよね。
ダ:投資家だからっていうのもあるけど、3349のヴィジョンが、俺の個人理念と限りなく近いっていうのがある。
柴:具体的には?
ダ:世の中を変えていきたいとか。
柴:ありがとうございます。
ダ:バカな集団だなと思った。いい意味でね。バカな集団って負け戦しないんですよ。ぎりぎりのところで戦って、必ず勝つ。そうじゃないと生き残っていけないしね。そういうのが好き。手伝いたい。それはお金だけの話じゃなくてね。
柴:ダイさんの言う投資は、お金だけでなくて、時間や言葉や思いというのも含めてってことですね。
ダ:そうそう。感情のある投資。本来の投資って感情はないんですよ。数字相手、機械相手ですからね。しんどくなるんですよ。
柴:飲食をやるようになってから、感情のある投資に傾いた?
ダ:証券会社では根拠、根拠、根拠。人ってそれだけじゃないでしょ?そのことがよくわかった。やっぱり日本人なんだなぁと。わびさびの世界で生きてるからね。
■日本の象徴としての公安
柴:ダイさんと呑んだとき、警察署の前で、一悶着ありましたよね。
ダ:あったね。
柴:ダイさんが「大麻吸いてぇ」 って叫んで(笑)警察官がわらわら寄ってきたけど、ダイさんが名前出したら、すっと警官は引いていって……。
ダ:持論を話してもいいですか?
柴:どうぞどうぞ、立入禁止なんで。
ダ:警察ってひどいと思ってるんですよ。さっき言った三大権力のないやつの集まり。話がわからない。
柴:融通がきかないしね。
ダ:そうそう。大麻と言えばすぐ振り向く。シャブと言えばすぐ寄ってくる。タトゥーが入ってれば職質される。やつらにはジョークがないっていうか……。あまりにも理不尽なことを言ってくる。疑ってくる。そして、こちらの身分を示した瞬間に寝返る。
柴:なるほど。
ダ:それってすごく日本的だなと思って。アメリカじゃ、ありえない。アメリカって多民族国家でしょ。日本って価値観が狭いというかなんというか。ボキャブラリーがないというか。
柴:なんとなくわかります。
ダ:かっこつけて今喋ってるけど、結構警察にはお世話になってます、酒のせいですけど(笑)少年院でもいい看守さんと出会えたしね。でも公安は許せない。彼らは全く競争してない。怠慢だと思います。そういうことに対してののメッセージというのもあるかな。
柴:まじめに仕事しろよ、と。
ダ:そうそう。パフォーマンスとして。
柴:周りも巻き込んで。
ダ:日本の公務員って大嫌いなんです。あのヒエラルキー。年功序列、ごますって上にあがる。あんなの日本だけです。
■喧嘩には負けるな
柴:ダイさんの9割は負けず嫌いでできているって前に言ってましたね。
ダ:喧嘩には絶対に負けるな、が信条です。店や会社を背負って、喧嘩に負けたらダメ。ダサい。
柴:うんうん。
ダ:従業員みんなにそういっています。クレイジーなくらい勝ちにこだわらなきゃ。年上だろうと、立場が上だろうと、関係ない。
柴:前に3349メンバーと呑んでるときに、先輩のカメラマンさんにダイさんが、「イキがってる先輩大好きっす」みたいなこと言ったじゃないですか?
ダ:はいはい。
柴:あれ、サシでも言います?
ダ:いいますよ。まず先輩や、立場が上の人にできる攻撃って、言葉の暴力なんですよ。「イキがってる」に反応するぐらいなら、ショボいんですよ。
ダ:あのときさらっとかわしたカメラマンさんは、やっぱり先輩、器がでかいなぁ、と思いましたね。勝ち負けだったら、あのときは俺の負けです。
柴:なるほど。
ダ:所属している外資系金融機関が、日産の筆頭株主になったことがあって、株主総会で質問したことがあるんです。俺が言ったのは「あなたは素晴らしい経営者だけど、日本で仕事するんだから、外国人を入れるんじゃなくて、まずは日本人雇えよ」 と。「そんなんだったら外国人なんか来るな」 と。そう言ったらそこで会見終了。
柴:「外国人来るな」 はまずいですね(笑)
ダ:会社からは褒められましたね。
柴:褒められたんだ。
ダ:株主が会社に向かってきちんとものをいうのは大事なことだよ、と。俺は喧嘩したかっただけなんですけど、そのあと日産の業績が急上昇して。
柴:また褒められる(笑)
ダ:それは運ですね。
柴:それを生み出したのは、きちんと言いたいことをいって喧嘩していくってことですもんね。
ダ:言いたいことはいったほうがいい。もちろん緻密な計算があってのことだけど。じゃなきゃ勝てない。もっと日本人は堂々と戦うべき。
柴:日本好きですか?
ダ:日本好きなんですが、外からみればはっきりわかるけど、日本は負け続けてる。アジア人は差別されてるっていうけど、アジア人って弱いんだと思います。舐められてる。勝たなきゃならない。日本人の精神力は世界一。だけど結果にコミットするのは、やはり世界の方。俺は日本人大好きだし、マジで天才が多いと思けど、もっと本気で先達が作ってきたものを継承して、勝ちにいかなきゃならない。
柴:そう思います。
ダ:少なくとも「いっぽ」 のメンバーは勝ちにこだわって勝ち続けてると思う。3349もそうだと思う。
柴:本当にありがとうございます。
ダ:いえいえ。
柴:ダイさん、取れ高十二分です。ちなみに記事にするとき、NGなものってありますか。
ダ:ない。
柴:ありがとうございました!!
1 大手外資系金融機関
ニューヨークに本拠を置く世界的な金融グループ。

2 やきとん屋「いっぽ」
高円寺に第一号店を開店後、阿佐ヶ谷に2号店プロトタイプをオープン。今年のはじめ、正式に2号店を西荻窪にオープンした。極上のやきとんを肴にうまい酒の呑める店。

3暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)
1992年に施行され、暴力団事務所の撤去が進むこととなった法律。これにより縄張り内で経営している飲食店への用心棒代の要求など、昔ながらの暴力団の資金獲得活動がかなり減少した。

[左] 小川大二郎(オガワダイジロウ) 長崎県生まれ。大学卒業後中央出版の経理部や人事部で働くも、金融の本質を知るべく、大学院に通いなおし、※1大手外資系金融機関に就職。現在シニアアドヴァイザー。一方で※2やきとん屋「いっぽ」2号店マネージャーを務める。
[右] 柴田修平(シバタシュウヘイ) 1986.6
原宿の某サロンにて下積み~スタイリストデビュー~トップスタイリストを経験。23歳の時、異例の店長に抜擢。その後、複数の店舗の運営管理を任され、赤字店舗を復活させる偉業を成し遂げる。2015年8月、『阿佐ヶ谷3349』代表に就任。カッコつけないカッコよさを現在模索中。知らないことを知らないと言える素直さを目標にし、『立入禁止(仮)』に参加。字が汚いがそんな自分は嫌いじゃない。真面目な優良社会不適合者。
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伊豆味大作(イズミダイサク)
1982年、沖縄生まれ。埼玉育ち。阿佐ヶ谷在住。
『ヘアカタ。』女性モード社 ライティング参加。
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